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オンラインゲームのチートが違法と言うのは、昔からよく言われてる話だけど……オフラインの話なの?

今さらオンラインゲームのチートの違法性を解く必要はないだろう。既にサドンアタックで書類送検された者も出ていることだしな。

そういえば、そんな事件もあったなあ。で、シオン的にはどうなの? オフラインゲームのチートについては、やっぱり合法なの?

そういう見方もあるが……「チート 違法性」で検索すると、まあ都合のいい解釈の多いこと。個人で利用する分には問題無いってさ。自分の行ないは違法ではないと安心したいのかもしれないが、根拠のない自信はどこから来るんだか。

……その言い分から察するに、シオンは違法と思っていそうだね。

まあ、結論から言うと、例えオフラインであっても違法の可能性が高い。俺の見解はな。

違法だ! と断言しないのはなぜ?

その辺は、これから詳しく取り扱っていく。結論の理由にも興味のある方は、少々長くなるけど以下をどうぞ。

オフラインチートの違法性

仮にオフラインのチートも違法だとして、一体どんな法律に接触するのか。
鍵となるのは、恐らく聞き慣れているであろう『著作権』である。

著作権!? チートって、噛み砕いて言うとゲームを不正に改造することでしょ? それで著作権の侵害なの?

厳密には、著作者人格権の一種である同一性保持権の侵害にあたる可能性がある。

著作者人格権……。著作権にも種類があるのね。

そうだ。著作者人格権は、その名の通り、著作者の人格的利益を保護するための法律。ざっくり言うなら、作者を守るための法律だ。

同一性保持権っていうのは?

同一性保持権は、これまたものすごく大雑把に説明するなら「勝手に改造しちゃいけません」って法律。作者の意図しない形で改造されたことによる精神的苦痛を救済するためのものだ。

……そのものズバリ、チートも禁止してるわけね。

ちなみに、同一性保持権はあくまで精神的苦痛に限ったものだ。財産的利益の保護は含まれていない。

著作者人格権は、著作者の人格を守るための法律と、さっき説明してたもんね。じゃあ、財産的な損失は泣き寝入りするしかないの?

まさか。もし財産的な損失がある場合には、翻案権の侵害の可能性があるぞ。チートに関連する判例はないけどな。

ふーむ。思っていたより違法性が高いじゃん。どうして「可能性がある」と言うようなうやむやな言い方なの?

俺は法の専門家では無いからな。あくまで俺の見解だと言ったはずだ。それに、同一性保持権の侵害については、どちらの判例もあるんだ。

どちらの判例も? つまり、侵害が認められたケースと、否定されたケースがあるってこと?

そういうことだ。順に見ていこうか。

ときめきメモリアル メモリーカード事件

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KONAMIが、スペックコンピュータに起こした裁判だ。KONAMIが販売する「ときめきメモリアル」の改変セーブデータを記録したメモリーカードを、スペックコンピュータが販売したのが原因。主人公のステータスが最初から高い状態でスタートできたり、卒業間近のシーンからスタートできてしまう。

ときめきメモリアルって、昔流行った恋愛シミュレーションゲームだよね。最初からステータスをいじっていたら、本来見るのに苦労するはずのデートイベントも、簡単に見られちゃうね。

その通りだ。この事件では、同一性保持権の侵害が認められた。上記で説明した通りの見解で裁かれたわけだ。

三國志III事件

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光栄(現・コーエーテクモゲームス)が技術評論社を相手に起こした裁判だ。こちらは非公式ガイドブックにフロッピーディスクが付属されており、そのディスクに収録されたデータを使うと、武将のステータスの限界値を突破できてしまうというもの。

ステータスの改変という点では、ときめきメモリアル事件と同じだね。

ああ。こちらも同一性保持権の侵害を掲げたが、光栄側の主張は全面的に退けられてしまった。

え! なんで!

どうやら、ゲームに「映画的要素」をどれだけ含んだかが争点となったようだ。三国志IIIの場合、プレイヤーによって展開が千差万別に変化する。「ユーザーの思考の積重ねに主眼があり、そのプログラムによって表されるディスプレイ上の映像の流れを楽しむことに主眼をもっているものでない」「映像も連続的なリアルな動きを持っているものではなく、静止画像が圧倒的に多い」として、退けられてしまった。

えー……それってときめきメモリアルにも言えることじゃない? 基準が曖昧すぎる……。

ときめきメモリアルの場合、「そのプログラムによって表されるディスプレイ上の映像の流れを楽しむ」ことにも主眼を持っていると見られたのだろう。紙一重だな。

結局のところ、どうなのか?

うーん。つまり、FFとかテイルズとか、ギャルゲを筆頭とする「シナリオ重視」なゲームの場合は違法で、戦略的思考を楽しむ映画的とは呼べないゲームの場合は合法? どうなのよその判断基準って。

いや、事はそう簡単なことではない。実はもう1つ「デッドオアアライブ事件」というものがある。こちらはテクモだ。今となってはコーエーテクモゲームスなので、三国志IIIの雪辱戦とも言えるな。

雪辱戦……ってことは、え? デッドオアアライブでは勝訴したの? あれって格闘ゲームであって、お世辞にも映画的な展開を楽しむゲームじゃないよね?

そうなんだよ。この事件では、特定の女性キャラを全裸にしてプレイできるプログラムを配布していたウェストサイドに起こした裁判なのだが……「プログラムで本来提供されるべき『ゲーム』という一つの作品を、作為的に改変して提供できる行為を助長するプログラムをウエストサイド側が提供していた」として、テクモ側の主張が全面的に認められる形になった。異例の事態といえる。

ゲームという作品を改変した……これ、チート行為なら全てに当てはめることができそうだね。

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▲デッドオアアライブ2において、かすみを全裸にしてプレイできるチートプログラムを販売していた。

例え数値だけの改変であっても、画面上に映しだされた連続影像群を著作物とみなし、その画面を制作者の意図しないものへ改変したと解釈することもできる。テクモは「著作者の創作意図から外れたゲーム内容への意図的な改変行為は認められない」と主張し、これを認められている。制作者が意図しないものへゲームを改造することはダメってことだ。この判決から汲み取るとな。

全裸という極端な内容も、裁判官の心象を悪くしたんだろうけど……。なるほど、こんな判例もあったのね。

三国志IIIの判例もあるし、合法という見方もある。ただ、違法という見解・判例も確かに存在することは、知っておく必要があると思うぞ。

オフラインだからって、安心できるってわけでは全然ないってことね。

ストーリー性に乏しいモンハン4の改造も、同一性保持権の侵害ではないかと述べる専門家もいる。あまりTwitterやブログで、得意気にチート行為を吹聴して回るのは控えた方がいいんじゃないかな。

改造を容認・黙認しているメーカーもいるけど、著作者が精神的苦痛を感じれば違法の可能性もあるってことね。オンライン・オフライン問わず、チートは法的に限りなくグレーということか。

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