ゲームAIの作り方講座1 AIにも種類がある


ゲームAI……なんだかかっこいい響き。

ターミネーターとか、人類を掌握する巨大コンピューターでも思い浮かべたか? さすがにそんな大層な人工知能の作り方は教えられんな……俺が機関から抹消される。

あーハイハイそうですか。それは大変ですねー。

悲しい。

ゲームAIの種類

ゲームのAIと聞いて、どんなものを思い浮かべただろうか? 実は、最近のゲームには、システムに応じてアレンジされた様々なAIが搭載されている。スクウェア・エニックスの三宅陽一郎氏によれば、ゲームのAIには大きく分けて3種類あるそうだ。

AIに種類なんてあるの?

あるぞ。ここでは、代表的な3種類を紹介する。まずは、どんな種類のAIがあるのか、順に見ていこう。

1,メタAI

ゲームそのものをコントロールする人工知能。多くの場合、プレイヤーの前には現れないので、人工知能として認識している人は少ないかもしれない。

代表的な実装例として、「バイオハザード4」が挙げられる。
このゲームでは、一部のモードにおいて、プレイヤーの実力を数値化し、腕前が高いと判断した場合は敵を強くし、逆に苦戦しすぎていると判断した場合は敵を少し弱くする処理が組み込まれている。
と言っても、そこまで難しいものではなく、「ノーダメージで敵を倒し続けると、敵の攻撃が激しくなる」「敵からダメージをもらうごとに、敵からのダメージを減らす」といったもの。
これにより、プレイヤーは常に自分の実力に適した難易度で恐怖を体験することができる。

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▲プレイヤーの腕前に応じて、敵の強さが10段階まで変化する。これらは全て内部的に行なわれるため、プレイヤーにその変化が伝えられることはない。

このように、メタAIは、ゲーム全体を監視してバランスを調整する役割を担っている。

良く言えば盛り上げ役、悪く言えば八百長ってことだね。

2,キャラクターAI

キャラクターの脳として機能する人工知能。
恐らく、一般的に認知されているのはこのキャラクターAIであろう。
格闘ゲームの対戦相手、FPSの敵の兵士たちなど、主に「CPU」と呼称される。
何も対戦相手に限った話ではなく、サッカーゲームの味方メンバーや、町中を歩く人々たちなど、俗にいう「NPC」も含まれる。

「人数合わせ」「動きがバカ」など、今までは何かとその存在を軽視されてきたキャラクターAIだが、最近では凝った作品も見受けられる。
「ドラゴンズドグマ」では、味方CPUがプレイヤーの行動から最適な戦術を学習し、CPUごとに戦闘で違った戦術を取るようになる。

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▲画面中央の金髪がプレイヤー。メインというCPUが「邪魔が入る前に早く!」と言いながら、敵のゴブリンを羽交い締めにしている。CPUの教育方法を変えると「先陣きって敵をなぎ倒す」「後方支援に徹する」「遠距離攻撃をする敵から倒す」など、キャラクターによって徐々に行動パターンが変化するようになる。

このように、キャラクターの感情を司る人工知能でもあり、凝り方次第では愛着のあるキャラを作らせることも可能だ。

これから、どんどん人間味のある人工知能が増えていくのかもね。

3,ナビゲーションAI

パス検索などを始め、地形・状況など空間的な情報を抽出する人工知能。
小難しいように聞こえるが、要はルート検索のこと。
カーナビで目的地を指定すると、道順を塗りつぶして表示してくれるアレである。

ゲームにおいては、複雑な地形をしたマップで、壁や障害物に引っかからないようにプレイヤーを追いかける処理などで使われる。
シミュレーションRPGで、移動範囲や攻撃範囲を表示するものも、これに含まれるだろう。

これはゲームAIの中でも最も歴史が長く、パックマンの頃から様々な検索方法が研究されている。
そのため、すでに成熟したジャンルだと思いがちだが、実はそうでもない。
エースコンバットを始めとする立体的なゲームでは、極めて複雑な計算を駆使して追尾させる必要があるし、ステージの地形が変化するタイプのゲームでは、AIがその地形変化に対応できなくてはならない。
それに加え、ゲームは速度が命。
たとえ計算が正確であっても、計算に10秒もかかり、その間ゲームが停止してしまっては使い物にならないのだ。

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▲機体の移動に関わらず、ミサイルの弾道計算などにも使われる。シューティングやアクションRPGでは、様々な個性の追尾弾をよく目にするが、あれもナビゲーションAIが動きを制御している。

複雑な計算を、コンマ何秒で処理する必要があるため、現在でも最適解を求めて試行錯誤が繰り返されているマニアックなジャンルだ。

計算に負荷がかかると、処理落ちしちゃうもんね。効率化を極めるってことなのかな。

まとめ

どうだ? 普段は全然気にしていなかったAIも、紐解いてみると奥が深いだろ。

ゲームの裏側が見えたようで、新鮮だったよ。

そう。通常、AIはゲームの裏側で動くため、その働きがプレイヤーの目に大きくは映らない。凝ったAIを作っても、評価されることは少ないんだ。

まあ、コッソリ敵を強くするAIなんて気づいてもらえないし、逆に気づかせちゃうのも興ざめだよね。

その通り。プレイヤーの楽しみをそっと後押しする、縁の下の力持ち。それがゲームのAIだ。

今後この講座では、AIの作り方について深く掘り下げていくつもりだ。今回は触りだけを扱ったが、この記事で少しでも関心を抱いてくれたのなら嬉しい。


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2件のフィードバック

  1. えんじゅ より:

    お世話になっております。相変わらず素晴らしい着眼点と考察ですね。
    特にバイオ4のメタAIに関しては、やっていても気付かなかったです。
    このブログは非常に為になります。月額制でも読みたいレベルで。
    これからも更新楽しみにしております。

    • 弓猫 弓猫チャンネル より:

      ありがとうございます。月額制でも読みたいとは大変恐縮です。
      ゲームAIの記事は、公開直後はあまり反響がなかったので放置してしまいましたが、じわじわと伸び続けているので、折を見てまた記事を書いていきたいと思います。
      こちらこそ、これからもよろしくお願い致します。

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