『RPGアツマール』の規約に疑問を感じたので、運営と直接議論してきました



注意!
この記事は、運営を煽って叩いて炎上させてやろうって記事でもなければ、逆に運営を擁護してステマする記事でもありません。速報!悲報!と扇動的なタイトルで煽ることしか脳のないゲーム系迷惑サイトの常連には理解しにくい内容になっていますので、ご了承ください。

RPGアツマールとは

そもそも、RPGアツマールってなに?

ざっくり言うなら、ニコニコ動画のゲーム版。ツクールMV製のゲームを投稿し、それに対してコメントしながら遊べる。コメントは実際のゲーム画面に表示されるぞ。

ほう、それは面白いね。

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▲投稿されたゲームで遊びながら、コメントをすることができる。

RPGアツマール

規約の一部が波紋を呼ぶ

で、このRPGアツマールの規約が大変危険なものであるとして、Twitterをはじめ一部の間で話題を呼び、公式が声明を出すに至った。

あらー……一体どんな規約だったの?

第5条(投稿コンテンツについて)
1.投稿者は投稿に先だって、次のことを確認し、予め同意するものとします。

①投稿コンテンツを、本サービスにおいて指定される形式ファイルにより投稿すること
②他の利用者から利用可能な状態となること
③niconico内での利用に限り、有償・無償を問わず、他の利用者が投稿コンテンツを改変・利用して、二次的著作物等を創作できること
④本項③に基づく他の利用者による投稿コンテンツの利用に対して著作者人格権その他いかなる権利の主張及び行使も行わないこと

RPGアツマール利用規約(2016年11月25日)

争点となったのは赤字の部分(以下、5-1-4)。これ、ようは「どんな二次創作が公開されたとしても、原作者はいかなる文句も言えないし削除申請する権利もないぞ」ってことになる。

いくらなんでも酷すぎる!

これは一体どういうことだということで話題になった結果、公式Twitterがいくつかコメントを出した。

とのことで、実際の利用規約と、運営からのコメントがだいぶ食い違っていることが分かる。

なんでこんなことになったんでしょうかね……。

アツマールの運営は、ニコニコと同じドワンゴ。その上にいるのがカドカワだ。やっぱりお前ら、原作者に泣き寝入りを強いて儲ける気かよこの野郎!!!!!

って思ったので、誰でも参加できる会議チャットに乱入し、運営の方と直接議論を交わしてきました。

あんた、そろそろ本当に謎の変死を遂げるんじゃないの? 相手は選ぼうよ……。

いや、だって、原作者が食い物にされんの嫌じゃん。実際どういうつもりなのあんたらって思うでしょ。だから突撃してみたの。

なぜ、あんな暴力的な規約になったのか

著作者人格権が強すぎる

まず、なんで著作者人格権を取り上げたか。これを取り上げることで、原作者は二次創作物に対し「ネタバレされてて嫌なので消して」「グロ・女体化は嫌なので消して」「原作をバカにしたようなコンテンツで不快なので消して」などの、削除依頼が出せなくなる。その権利を行使することは規約違反だと言っている。

改めてみるととんでもない規約だね……

が、しかし。5-1-4を削除し、著作者人格権を行使できるようにするとどうなるか。今度は、あらゆる二次創作物が、原作者の鶴の一声で削除できるようになってしまう。「実況者の声が気に食わないので削除」「こいつ個人的に気に食わないので削除」「腹減ったので削除」なども、極端な話をすれば通ってしまうし、権利がある以上運営はそれに従って削除せざるを得ない。

争点となった5-1-4の直前(5-1-3)に「niconico内での利用に限り、有償・無償を問わず、他の利用者が投稿コンテンツを改変・利用して、二次的著作物等を創作できること」と記載してあるとおり、アツマールでは二次創作でゲーム投稿が盛り上がることを想定していると思われる。これ自体には反発する原作者も少ないと思われる。

が、あらゆる二次創作が、不当な理由で削除される危険に晒されているとなると、二次創作者が萎縮してしまうのも無理はない。著作者人格権は非常に強力で、権利を主張するのに明確な理由は必要ない(らしい)。なので、二次創作を保護する名目で権利の行使を禁じたようだ。

いや、いくら二次創作者が萎縮すると言っても、この規約じゃ逆に一次創作者が萎縮すると思うんだけど……。

ああ。その問題は運営側も認識していて、現在審議中とのことだ。

あんたの質問のせいで、運営の仕事が増えたのね。

僕自身はいい仕事したと思ってますわー。あー働いたわ。

地獄に落ちてしまえ……

その他の権利も取り上げている

だが、争点は他にもあり、5-1-4では「著作者人格権その他いかなる権利の主張及び行使も行わないこと」と言っている。著作者人格権どころか、あらゆる権利の行使ができないわけだ。

むしろこっちのほうが暴力的だし、怖いよね。

これについては利用規約を作る時の鉄則みたいなもんで、「とりあえず全部」って書いたほうが安全なんだそうだ。これは、ツクマテを運営している僕にも身に覚えがある。

あるんだ?

ほら、規約でよくあるじゃん。「その他運営が不適切と判断したもの」みたいな。禁止事項を書いていく時に、「暴力的なものはだめ」「エロもだめ」「荒らしもだめ」って書いていくとキリがない。想定外の書き込みをされた時に、規約に書いていないと対処できない。規約に書かれたこと以上のことを勝手にやると、運営への不信感が増す。だから、全てのトラブルに対応できるよう曖昧に「その他」「全部」って言っておく必要がある。

著作者人格権だけを封じ込めたとして、思わぬ穴を突かれて不当な削除依頼が出された場合、それがどんなに客観的に見て納得し難い理不尽なものであっても、運営は削除せざるを得なくなるんだ。だって規約に書いてないから。

ということで、不当な削除に最大限配慮した規約ってことなんだろうな。

着地点をどこに設けるか?

とは言え、このままでは「二次創作物は保護するけど、原作者の権利は全部剥奪します」と言っているようなもので、たとえ運営にその気がないにしても、不信感を招くのは必至だ。運営はTwitterにて「正統な権利に基づき削除申請を行うことが可能です。削除の権利が制限されることはありません。」と言っているものの、これは利用規約と決定的に矛盾していることになる。規約通りに解釈するなら、原作者は削除の申し立てをすることができない。

じゃあ、原作者に削除申し立ての権限を与えようとすると、今度は不毛な削除によって二次創作者が萎えてしまう問題に対処できない。このジレンマを解消すべく、現在も審議中とのことだ。

あっちを取ればこっちが引っ込む。難しいね。

以上。別に運営は原作者を食い物にしたいわけじゃないけど、ちょっと強引すぎる規約なのでどうにかしたいですって思っているそうですよという話でした。ここから先は、僕個人の見解。

著作者人格権は確かに強力なのかもしれないけど、現行法によって保障されている権利なわけで、それを行使するなってのはどうなんだろう。

「腹減ったので削除」も、著作権法に基づいた話なら許される。二次創作ってのは原作者の黙認があるからこそ成り立っていたわけで、いざという時に「ちょっと待った」と言える権利を剥奪してまで守るべき文化なのだろうか。

一次創作者と二次創作者は、対等な関係ではないと思っている。一次創作が無ければ、二次創作は生まれない。まず原作者の権利を確立させてから、二次創作をどう保護するか考えるべきなのではないかな。少なくとも、その負担を原作者に強いるのは間違っていると思います。原作者の声に全て委ねられている関係が嫌なのであれば、自分が原作者になればいいのではないでしょうかね。

二次創作を全て許容する作者から、部分的に許容する人、黙認しているだけで事が大きくなれば規制する人など、原作者によって対応は千差万別。規約で解決できる部分じゃない。不当と感じるかどうかは原作者に委ねます、という規約が一番安全なんじゃないかな、と。

二次創作者が萎縮してしまうのは問題かもしれない。だが、一次創作者からそっぽを向かれたら、そもそも作品が集まらず二次創作も生まれない。アツマールとは名ばかりだ。どっちを取るかのさじ加減は悩ましいだろうけど、優先順位が違うんじゃないかな、と思いました。

手厳しいね。

まあ、審議中とのことなので、ここからどう変わっていくか見守りつつ、顔を出せる時にまた議論に参加したいと思います。変化があればまた記事にしていくよ。


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2件のフィードバック

  1. とおりすがり より:

    カドカワの運営する小説投稿サイト「カクヨム」でも、著作者人格権に関連する規約で似たようなことがあったような

  2. はるさめ(仮) より:

    解りやすい良い記事でありがたいです。
    短編の体験版を1本ツクっただけのツクラーもどきが言うのもアレですが、なんか創作意欲が滅入るような話ですなぁ。こんな事になるならツクールMVからツクールフェス(3DSのやつ)に完全シフトしようかなぁとまで考えてしまいます。
    それとも、趣味でツクったもので金や見返りを求める方が罰当たりなんでしょうか、それもそれで夢がない気がしますが。
    回答日は早くて月曜日ですか、注視しないといけませんね。

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