人格診断MVの開発秘話を公開!元ネタになった作品も紹介します


人格診断MVとは

2015年の12月末に、僕は『人格診断MV』というゲームを公開した。

総プレイ回数9600回(2016年10月17日現在)、第三回PLiCyゲームコンテスト 動画部門金賞と、短編でありながら数多くのプレイヤーに愛されてきました。

自分で言っちゃうかー。

また、メールフォームからも「人格診断MVの制作秘話などがあればお聞きしたい」とのお便りを複数いただいたので、この度記事にしてみようと思った次第であります。

自演じゃないよね? 本当にお便り、来たんだよね?

そこまで落ちぶれてねえよ!!

元ネタになった作品

診断をやっているように見せかけて、実は……というギミックが好評だった本作だが、実はいくつか影響を受けた元ネタが存在する。

サイレント・ヒル シャッタードメモリーズ

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2010年にコナミが発売した、サイレントヒルのリ・イマジネーション作品(基本設定だけを残した新たな作品の事)。武器を一切持てず、ひたすら走って隠れて敵から逃げ延びるしかない、サバイバルホラーだ。

シリーズの中でもマニア向けなので、「おお!この作品か!」と喜んだファンがいたら申し訳ないのだが、僕はこの作品を全く遊んでいない。遊んだ知人からどういうゲームかを聞かされた。

このゲームは、記憶を失った主人公が精神科医からカウンセリングを受け、回想シーンでのプレイを経て徐々に物語の真相が明らかになっていく作りになっている(らしい)。……繰り返すが、第三者から話を聞いただけで実際に遊んだわけではないので、間違っていたら申し訳ない。

物語の基本設計となる、記憶喪失の主人公とカウンセリングという部分も元ネタと言えばそうなのだが、もう1つ。このゲームは、物語の最後に、ゲーム中に診断で選んだ回答をもとに実際の心理分析をしてくれるという小ネタが用意されている。このギミックこそが、人格診断MVで参考になった部分である。

ただゲームのエンディングに関連する選択肢だと思って選んでいただけのはずが、プレイヤーに直接結果を示すギミックとして仕込まれていた。当時話を聞いた僕がそこまで分析できていたかは定かではないが、インスピレーションを受けたのは事実だ。

このアイデアをそっくりそのまま真似たわけではないが、単なる診断で終わらせないようにしようと、ギミックを仕込むに至ったきっかけになってくれた。

このゲーム自体は遊んでもいないから思い入れはないんだけど、このギミックだけがずっと頭の片隅に残っていたみたいでな。

アイデアの引き出しって、いつ役に立つか分からないものだね。

P.T.

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P.T.は、2014年の8月14日(奇しくも僕の誕生日)に、PlayStation Storeにて配信された無料のホラーゲーム。7780sスタジオの名目で配信されたインディーズのゲームかと思いきや、最後までクリアすると、実は小島秀夫監督が手がけるサイレントヒルの最新作であったことが示される。P.T.は「プレイアブルティザー」の略であり、遊べる広告としてゲームをリリースしたその斬新な宣伝方法が話題を呼んだ。

P.T.!? あれのどこが人格診断MVの元ネタなのよ。どこも似てなくない?

あれのゲームの中身に影響を受けたわけじゃないよ。小島監督の着眼点に度肝を抜かれたんだ。

先ほど述べたように、P.T.は無料配信されたゲームではあるものの、本編の一部を切り取った体験版ではない。P.T.というゲームは、最初から発売される予定はなく、サイレントヒル最新作の広告のために作られた専用のデモゲームなんだ。

うん、知ってるよ。それがなにか?

P.T.は、ただのゲームではない。サイレントヒル最新作がいかに怖いゲームであるかを、プレイヤーに刻みつけることが目的なんだ。つまり、クリアして満足してもらうことを目的としていない。

過去のインタビュー記事にて、小島監督は「怖すぎてプレイを断念させるつもりで作った」「クリアには一週間ほどかかるつもりで難解な謎解きにした」と語っている。実際、P.T.のホラー演出はメンタルを削ぎ落とすほど怖かったし、謎解きもほぼノーヒントなものばかりで、実際に発売されるゲームでは理不尽と言えるレベルのものだった。

ふーむ……。でも、人格診断MVの謎解きって、別にそこまで難しくないし、ホラー演出もないよね? 今の話がどうつながるの?

話はまだ終わってない。大事なのは、「めっちゃ怖かった」「めっちゃむずかった」のほうではなく、「断念させるつもりで」「一週間ほどかかるつもりで」のほうだ。

……ん?

要するに、ゲームとしてどういう刺激を盛り込むかに留まらず、手に取った人がどういう遊び方をするか、もっと言うなら、手に取った人をどう振り回してやろうかという発想に影響を受けたんだ。作中のキャラをどう動かせば面白くなるかを考えるのもゲーム作者の腕の見せどころだが、小島監督は「プレイヤーすらゲームの登場人物の一員」とみなし、プレイヤーをどう操作してやろうかというところまで考えてあのゲームを作ったのではないか、と、そう思ったわけ。

今って実況配信プレイがトレンドだよな? P.T.は、実況配信によって世界中の視聴者たちがコメントを寄せ合うことを前提に、多言語から紐解かないと最後の謎解きを突破できない難易度になっている。大事なのは「それぐらい難しいんだぜ」ってことではなく、実況配信によっていくつもの言語で情報交換がなされることを予め想定してバランスを練ったという、プレイスタイルにまで目を向けた着眼点なんだよ。

プロからしたら「今さら何を当たり前のことを……」と思うかもしれないが、ここまでその着眼点を露骨に味わえたゲームは、僕はあれが初めてだったんだ。サイレントヒル最新作は、小島監督の退社をもって開発中止となり、P.T.も現在は入手不可になっている。あの当時、他に類を見ない斬新な発想を味わえたことを、僕は心から幸運に思うよ。

この記事、人格診断MVの開発秘話について語ってるはずよね?

RPGツクールMVはスマホ向けのゲームも作れるのがウリだが、それを聞いて真っ先に思い浮かんだのが「ツイート機能との相性」だった。幸いなことに、ツイート機能を実装するプラグインはすでに有志が公開してくれていた。後はアイデアを考えるだけだった。

ミニゲームを作ってスコアをツイート、も確かに悪くない。だが、どこの誰が作ったかも分からないゲームのスコアのツイートをいきなり見せられても、遊びたいと思ってもらうには弱いだろう。有名ゲームですら「今のジョブはこれ!」と言われても「知るか」の一言だ。

今さらっと他のゲームをけなしたね?

一人のツイートから「俺も私も」と連鎖するようなものとして、診断が思い浮かんだ。これなら「自分ならどうなるだろう」という興味で手にとってもらえる。でも、ただ診断させるだけじゃつまらない。なにか驚くようなギミックを仕込んで、でも表向きは普通の診断として素知らぬ顔でリリースすれば、「うおー何だこのゲーム!ネタバレだから言えないけど遊んでみて!」って口コミも期待できるかもしれない。

といった感じだ。ゲームを作ると言っても、遊ぶのは人間。どうすれば目にした人が興味を持つか。どんな遊び方をしてくれるか。どうやったら拡散や感想を口にしてくれるか。実際に遊んでいる姿を思い浮かべながら作った。P.T.で衝撃を受けていなかったら、ここまで考えるには至らなかったと思う。考えている時は最高に楽しかったよ。今まで意識したことのない部分だったから。

なるほどね。で、どんなギミックを仕込もうかって部分で、さっきのシャッタードメモリーズに行き着いたわけね。

余談だが、P.T.には「Lisa」という女性の幽霊が登場する。人格診断MVのリズは、彼女の名前が元ネタだ。別にリズは幽霊じゃないし、容姿も立ち位置も全く異なるが。

まとめ

こうして書いてみると、溜めておいたアイデアや経験がたまたま結びついた結果だな。僕はプログラマを目指して創作畑に踏み込んだ人間なので、そもそも奇抜な発想で勝負するのは得意じゃない。一人で黙々と作っていたら、確実にこのゲームは生まれなかっただろう。

実際の作業に費やした時間はそう多くない。3日もかからなかったと思う。RPGツクールの公式生放送にて、伊予柑さんが視聴者のツクラーに向けて「とりあえず年内に短編を1個作ってみましょう。大作を狙うとまず挫折するから、期日は年内ね」と言ってくれたのが、制作のきっかけだからね。一週間足らずで何が作れるだろうという、制約から生まれたアイデアだった。

近頃は絵師さんが参入していることもあって、画力の高いフリゲが多い。僕は絵も描けないし大した物語も書けない、マップ作りのセンスもないしそもそも完成させる気力すら足りない。できないことが多すぎる中で、さらに短い期間という制約も加わった中での制作だった。制約がアイデアを生むとも言われるが、それをここまで実感できたゲーム作りもそうないなって思いました。二度目は多分無い……。運が良すぎたわ。

無力であってもやり方次第で突破口が見えるのって、インディーゲームやフリゲ界の面白いところなのかもね。

最後に、このゲームはバズを意識したとは言え、ここまで拡散され多くの人に手に遊ばれ、賞までいただけるとは思っても見なかった。きっかけを与えてくれた伊予柑さんやツクール開発部の皆さん、最初に遊んで拡散してくれた皆さんを始め、人格診断MVを楽しんでくれた全ての皆さんに感謝します。ありがとう。制作秘話を書ける日が来るとは思っていなかった。

これで心置きなく死ねるね。

えっ?


 

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