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※人物名は敬称略。

記事の抜粋

日経の電子版に、気になる記事があったので紹介する。

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家庭用ゲームで日本を代表するブランドを誇るコナミに異変が起きている。突然の組織再編に人気クリエーターの退社、沈黙を守るトップ――。2015年3月期からはゲームソフトの販売実績を非公表に切り替えた。ベールの向こう側で何が起きているのか。

コナミ本社が入る東京・六本木の東京ミッドタウン・イースト。その10階に、今年3月の組織再編で新設された「第8制作部」のオフィスがある。彼らはかつて「小島プロダクション」と名乗っていた。

 「こんなことをしていたら訴訟沙汰になるぞ」。コナミのある若手社員は憤る。この4カ月余り、第8制作部の社員が使うパソコン端末はインターネット接続を遮断されたままだ。有能なエンジニアたちが外部とのつながりをなくし、力を発揮できない状態で放置されている。同部を率いる小島秀夫(51)も情報発信を止められた。

(以下、有料の記事のため、省略)

全文を読む(会員登録が必要)

記事から読み取れる、コナミの現状と未来

徹底して社員を抑え込むディストピア

「元社員の転職にイイねを押した社員全員を異動」で話題になった、例の記事だ。すでにご覧になった方も多いと思う。

インターネットの遮断といい、ずいぶんと強引に抑えこむんだね……怖すぎて失笑しちゃうよ。

コナミの現状については、『メタルギアライジング』の続編は出るのか?でも取り扱ったが、こちらが想像していたより、事態は深刻のようだな。

どうして、こんなことになっているんだろう……。

うむ。コナミの内情は、すでにある程度暴露されているので、今回はその原因について、追求してみよう。

トップがゲーム嫌い

上月景正(コウヅキ カゲマサ)という人物をご存知だろうか。
滅多にメディアに露出しない人物のため、知らない方も多いかもしれない。

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▲15年前の写真。現在74歳とのことなので、59歳の頃の写真ということになる。

上月は、コナミの創業者の1人であり、持株会社の会長だ。早い話、コナミの方針に意見できるエラい人だ。

すっごくシンプルな説明、ありがとう……。で、その上月って人がどうしたの?

記事によると、上月はゲームにあまりいい印象を抱いていなかったそうだ。「(ゲームの)イメージが良くなく子供にも自分の職業が言えなかった」、 「(フィットネスクラブを持つ企業を買収し、)私はやっとゲーム以外の事業を手に入れた」などの発言を残しているらしい。

それはまた……ゲームに対する思いがよーく伝わる発言でございますねー。

所詮はゲーム屋と呼ばれる風潮を気にしていたそうだな。確かに、エンタメ業界に限らず、ゲームを軽視する見方もいまだに根強い。経営者としてのプライドがあったのかもしれないな。

うーん。トップがゲームに悪印象を持っているなら、今の現状にも納得だね。小島監督を含めた先ほどの社員の封殺といい、どうもそれだけでは説明が付きにくい気もするけど。

そうだな。ところで、上月景正という名前……どこかで聞き覚えがないかな?

え? 何その意味深な言い方。別にないと思うけど。

そうか、なら、この動画はどうだ?

ごめん、まだ分からない。英語だし。

実はこれ、2015年の5月頃に投稿された、匿名のリーク動画だ。メタルギアシリーズの生みの親である小島監督と、上月景正についてのことがコメントされている。

ああ、そう繋がるのね。でも、匿名のリークって、なんだか胡散臭いね。

確かに、確かな情報だという証拠はないが、コナミは著作権侵害を理由に動画の削除申請をしている。それが海外で大炎上し、後日ミラー動画が投稿された。記事の動画はミラーの方だ。

以下、動画の翻訳をしているみらいマニアックスの記事から引用する。このサイトに対して思うところがある人も多いだろうが、今回はあくまで翻訳の引用とのことで、ご勘弁願いたい。

なによりもまず、CEOのカゲマサ・コウヅキは小島さんを憎悪している。
彼(小島氏)はあまりにも多くの予算を使い、長い時間をかけるからだ。MGSは儲かっているのだが、ガゲマサにはそれでは足りないのだ。

(中略)

コナミはもはや彼らを必要としていない。
コナミはもっとスキルの低い人をもっと安い賃金で雇い、パチンコとスマホでコンソールと同じ売上を上げるのだ。

カゲマサはそうしたコジマ・プロダクションの開発者をクビにしたいのだが、チーム全員を一斉にクビにはできないので、自発的に辞めるように強いているのだ。

小島さんがクビになったことが社内で発表された後、コナミはUnit 8を(社内ではそうよばれているのだが)メイン・サーバーから隔離してインターネットへの接続を断ち切った。二週間だ。
小島さんのところで働いている連中が伝えてくれるが、Webベースのものは全てアカウントを消して、全て最初からやり直さねばならなかった。

停電はしょっちゅう、セキュリティ・ドアは開かない、数日に一度机を交換させられる。
一人が言ったのだが、文字通りの地獄だそうだ。

何百もの人々が職を失いつつある。小島さんだけではない。

全文を読む

さっきの「第8制作部」の、インターネット隔絶のことも書かれているね。というか、これって完全に……。

かつてセガでも話題になった追い出し部屋、だな。退職金を支払いたくない社員を、自己都合退職に追い込むために、劣悪で過酷な環境に放り込むための部署のことだ。小島監督を含め、MGSVの開発陣たちはそのような環境に放り込まれている可能性があると。

もし本当なら最悪だね……。

ゲーム屋として見られることを嫌う上月と、ゲーム屋としてプロ根性を貫く小島監督とでは、まあ衝突も多そうだ。かつて小島監督はコナミの執行役員副社長だったが、こうも方向性が異なっていては、解任されるのも頷ける。

上月景正は、2012年に持株会社の社長の座を、次男の上月拓也に譲っているらしく、他にも社内取締役7人のうち、4人を上月一族で固めているようだ。

転職にイイねで全員異動、小島監督の追い出し部屋と、強硬手段を取る上月景正が、周りを身内で囲う……分かりやすい構図だね。

大株主を身内で固めるのはよくある話だが、問題はその元トップが、ゲームに対しあまり良い印象を抱いていないという事実だ。

『メタルギアライジング』の記事で、続編の可能性は限りなく低いと書いたが、そんな生易しい表現では足りないかもな。

ほぼゼロ。絶望的だ。なにせ上月景正は、2010年にドラコレがヒットしていた時期から「時代はソーシャルゲームだよ。もっとソーシャルに力を入れなさい」と口にしていたそうなのだから。ライジングの記事で取り扱ったが、そこにきての早川英樹の社長就任だぜ?

早川英樹社長……ああ、モバイルに力を入れますと語っていた、ドラコレのプロデューサーね。

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▲大荒れしたパワプロやウイイレの追加課金システムを、成功体験として語った早川英樹社長。詳細は、度々挙げている『メタルギアライジング』の続編は出るのか?を参考にしてもらいたい。

どうして早川社長は、こうも荒れているのにユーザーの声を無視し、強引にゲーム事業を冷遇するのか。簡単な話だ。そのもっと上がゲーム嫌いだからだよ。

ゲーム屋として見られたくない……上月はそんなコンプレックスを抱えながら、一刻も早くゲーム屋をやめたかったことだろうよ。こんな現状で、ユーザーが求めるゲームコンテンツが生み出されると思うか? 次代を担うクリエイターが現れると思うか?

桃鉄のさくまあきらとは破談、ラブプラスの内田明理プロデューサーも退社。沈みゆく泥船を前に、名のあるクリエイターはむしろ逃げていく有り様だ。

じゃあ、どうして小島監督も後に続かないんだろう……。

憶測だが……もしかしたら、彼なりに責任を果たそうとしているのかもしれないね。自分が手がけたゲームは、必ず完成させると。それが劣悪な環境下での開発であってもね。

スネークの声優役である大塚明夫が、度々「信じてほしい」と言うのには、もしかしたらそんな背景があるのかもしれないなあ……。

まとめ

なんというか……日経の記事に関しては、興味深いところまで掘り下げてくれた反面、ゲーム好きとしては思わず言葉を失ってしまう内容だったね。

記事では他にも、社内の詳しい現状や、上月の思惑についての考察が詳しく語られている。無料会員登録なら10本まで記事を読めるので、気になった方は一度目を通してみてほしい。

かつてスクエニでは、経営者あがりの和田前社長が、ソーシャルゲームやスマホのリメイクに傾倒して業績を悪化させ、退任するに至ったよね。そこから、ニーアの続編にFF7や12のリメイクと、ゲーム屋として息を吹き返したわけだけど。……コナミも、またゲーム屋として私たちを熱狂させてくれる日が、来るといいね。

ゲームの今 ゲーム業界を見通す18のキーワード
徳岡 正肇
SBクリエイティブ
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